防火管理
防火管理者
防火対象物には、消防用設備を設置するだけではなく、建物の防火管理が正常・円滑に行われるための防火管理者を置くことが義務づけられている。
防火管理者の選任
防火管理者の選任・解任は管理の権原を有する者(管理権原者)によって決められる。
管理権原者は防火管理者の届出を
消防長・消防署長に届け出る。
防火管理者は
甲種及び乙種防火管理者講習を受けた者の中から選任する。
また、誰でもよいわけではなくその建物の中から
管理的及び監督的立場の中から選任しなければならない。
つまり、事業所では管理職的立場の中から選任しなければならない。
防火管理者を定めなければならない防火対象物
防火管理者の選任が必要な防火対象物については、次のとおりです。
- 対象となる防火対象物とその区分
防火対象物 | 収容人員 | 防火対象物の種類 |
乙種 | 甲種 |
主として要介護状態にある者または 重度の障害者等を入所する施設、 救護施設、乳児院、認知症グループ ホーム等、複合用途の建築物のうち
、 その一部に(6)項ロの 用途部分を含むもの。 地下街((6)項ロの用途 部分を含むものに限る。) | 10人以上 | | すべて |
特定防火対象物 (上記及び準地下街(16の3)項を除く) | 30人以上 | 300m2未満 | 300m2以上 |
非特定防火対象物 | 50人以上 | 500m2未満 | 500m2以上 |
- 工事中の防火対象物
外壁および床または屋根を有する部分が、以下に定める規模以上の建築物で、電気工事等の工事中のもの。
- 地階を除く階数が11以上で、かつ、延べ面積が1万m2以上である建築物
- 延べ面積が5万m2以上である建築物
- 地階の床面積の合計が5000m2である建築物
- 建造中の旅客船
建造中の旅客船で、収容人員が50人以上で、かつ、甲板数が11以上のもの。
防火管理者の資格
防火管理者の資格には次のようなものがあります。
- 甲種防火管理者(甲種・乙種防火対象物の防火管理)
甲種防火管理講習の課程を修了した者
- 乙種防火管理者(乙種防火対象物の防火管理)
乙種防火管理講習の課程を修了した者
- その他以下の者がその資格を有する。
- 学校教育法(昭和22年法律第26号)による大学または高等専門学校において総務大臣の指定する防災に関する学科または課程を修めて卒業した者で、1年以上
防火管理の実務経験を有する者。
- 市町村の消防職員で、管理的または監督的な職に1年以上あった者。
- 前記に掲げた者に準ずる者で、総務省令で定めるところにより、防火管理者として必要な学識経験を有すると認められる者。
ただし、延べ面積が300m
2以上の特定防火対象物(収容人数30人以上)と、延べ面積が500m
2以上の非特定防火対象物(収容人数50人以上)には、
甲種防火管理者を置かなければならない。
防火管理者の業務
- 消防計画の作成
- 消防計画に基づく消火、通報及び避難の訓練の実施
- 消防用設備、消防用水、消火活動上必要な施設の点検及び整備
- 火気の使用または取扱いに関する監督
- 避難または防火上必要な構造および設備の維持管理
- 収容人数の管理
- その他防火管理上必要な業務
統括防火管理者
- 1つの建物で管理の権限が分かれている場合において、建物全体の防火管理業務を統括する者をいう。
- 1つの建物を複数の防火管理者が共同で管理することを統括防火管理という。
統括防火管理が必要な防火対象物
防火対象物 | 階段 | 収容人員 |
高層建築物注1 | | |
主として要介護状態にある者 または重度の障害者等が入所する施設、救護施設 乳児院、認知症グループホーム等、 複合用途の建築等
のうち、その一部に(6)項口の用途部分 を含むものに限る)。 | 地下を除く階数 が3以上 | 10人以上 |
特定防火対象物(上記および地下街(16の2)項 、準地下街(16の3)項を除く) | 地下を除く階数 が3以上 | 30人以上 |
複合用途防火対象物(16)項口 | 地下を除く階数 が5以上 | 50人以上 |
準地下街(16の3)項 | | |
注1:高層建築物とは高さ31m以上の建築物のことをいいます。
防火対象物点検[消防法第8条の2の2]
防火対象物点検は、消防用設備等の点検とは別に「建物の防火管理が正常・円滑に行われているか」などをソフト面を主体に点検を行うものである。
点検が必要な防火対象物
防火対象物点検が必要な建築物
- 特定防火対象物(準地下街を除く)で収容人数が300人以上のもの。
- 特定1階段等防火対象物(特定防火対象物の用途部分が避難階以外の階にあり、避難階以外の階から避難階または地上に直通する階段が屋内1つしかないもの。)
防火対象物の点検方法
- 管理について権原を有する者→防火対象物点検資格者に点検をさせる。
- 防火対象物点検資格者→管理について権原を有する者に点検結果を報告
- 管理について権原を有する者→消防長・消防署長に1年に1回点検結果を報告
防火対象物の特例
点検に際して、点検が下記のどれかに当てはまる場合、点検が免除される。
- 申請者が当該防火対象物の管理を開始したときから3年が経過していること。
- 当該防火対象物について、次のいずれにも該当しないこと。
- 過去3年以内において当該防火対象物の位置、構造、設備または管理の状況がこの法律もしくはこの法律に基づく命令またはその他の法令に違反している場合。
- 過去3年以内に本特例の取り消しを受けたことや受けるべき事由がある場合。
- 過去3年以内に点検もしくは報告がされなかった。または報告の際、虚偽の報告をした場合。
- 過去3年以内に点検の結果、防火対象物点検資格者により点検対象事項が点検基準に適合していないと認められた場合。
- 当該防火対象物について、この法律またはこの法律に基づく命令の遵守の状況が優良なものとして総務省令で定める基準に適合するものであると認められること。
- 申請者は、総務省令で定めるところにより、申請書に前項の規定による認定を受けようとする防火対象物の所在地その他総務省令で定める事項を記載した書類
を添えて、消防長または消防署長に申請し、検査を受けなければならない。
試験ではこう出る
防火管理者は、消防の用に供する設備、消防用水若しくは消火活動上必要な施設の点検及び整備又は火気の使用若しくは取扱いに関する監督を行うときは、火元責任者その他の防火管理の業務に従事する者に対し、必要な指示を与えなければならない。
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