規格(その他)
放射性能
消火器の放射性能については以下の規定がされています。
- 放射時間は20℃において10秒以上であること。
- 放射距離については消火に有効な放射距離を有すること。
- 放射量は充てんされた消火剤の容量(または質量)の90%以上(化学泡消火薬剤は85%以上)の量を放射できること。
使用温度範囲
消火器は0℃~40℃(ただし、化学泡消火器は5℃以上40℃以下)の温度範囲で使用した場合、正常に操作できること。
自動車に設置する消火器
自動車に設置する消火器は、次の5つに規定されている。
- 強化液消火器(霧状放射のものに限る。)
- 機械泡消火器
- 粉末消火器
- ハロゲン化物消火器
- 二酸化炭素消火器
備考:強化液消火器でも棒状放射の消火器及び化学泡消火器は自動車には設置できない。
キャップ、プラグ、口金
- 充てん、その他の目的でキャップまたはプラグを外す途中、本体容器内の圧力を完全に減圧することができるように有効な減圧孔または減圧溝を設けること。
- 本体容器の耐圧試験を行った場合に、著しく変形を生じないこと。
バルブ
ハンドル車式のバルブにあっては、1回転4分の1以下の回転で全開すること。
ホース
- ホースの長さは消火剤を有効に放射できる長さであること。(長さに関する規定はありません。
しかし据置式消火器のみ、有効長が10m以上必要です。)
- 以下の消火器はホースは不要です。
- 薬剤量が1kg以下の粉末消火器
- 薬剤量が4kg未満のハロゲン化物消火器
ノズル
原則として、消火器のノズルに開閉式及び切換式の装置を設けないこと。ただし、次のような場合は例外とします。
- 車載式の消火器は開閉式と切換式の両方とも設けることができる。
- 据置式消火器、背負式は開閉式のみ設けることができる。
ろ過網
ろ過網が必要な消火器は化学泡消火器です。
ろ過網とは、液体の薬剤中のゴミを取り除き、ホースやノズルが詰まるのを防ぐために設けるもので、ホースやノズルに通ずる
薬剤導出管の本体容器側に設けます。
- ろ過網の目の最大径はノズルの最小径の4分の3以下であること。
- ろ過網の目の合計面積は、ノズル開口部の最小断面積の30倍以上であること。
安全栓
- 消火器には、不時の作動で防止するため、1動作で容易に引き抜くことができる安全栓を設けること。ただし、次の消火器には不要です。
- 転倒式の化学泡消火器
- 手動ポンプにより作動する水消火器
- 手さげの消火器には、次のような規定があります。
- リングの塗色は黄色で、内径は2cm以上であること。
- 上方向に引き抜くように装着されていること。
(但し、垂直軸から30度以内)
ただし、「押し金具をたたく1動作で作動する消火器」、「蓋を開けて転倒させて作動する消火器」は除きます
安全弁
安全弁は、化学泡消火器、ハロン1211消火器および高圧ガス保安法の適用を受ける二酸化炭素消火器とハロン1301消火器に装着されています。
安全弁の規格については、次のように規定されています。
- 本体容器内の圧力を有効に減圧することができること。
- みだりに分解し、または調整することができないこと。
- 封板式は噴き出し口に封を施すること。
- 「安全弁」と表示すること。
液面表示
化学泡消火器の本体容器の内面には、(充てんされた消火器の)液面を示す表示をすること。
使用済みの表示
手さげ消火器には、使用した場合、自動的に作動し、使用済みであることが判別できる装置を設けること。
ただし、次のような消火器には使用済みの表示は不要です。
これらの消火器は使用済み表示しなくても使用されたことが明確に判別できるため
圧力調整器
圧力調整器は窒素ガス容器の高圧ガスを消火器に適応した充てん圧力まで減圧させる装置です。
圧力計は、調整圧力の範囲を示す部分は
緑色で明示すること。
指示圧力計
蓄圧式の消火器(二酸化炭素消火器、ハロン1301消火器は除く。)には指示圧力計を装着する必要があります。
指示圧力計の概要は以下の通りです。
- 使用圧力範囲・・・・0.7~0.98MPa
- 圧力検出部の材質
- 水系消火器(強化液消火器と機械泡消火器)・・・ステンレスのみ
- 粉末消火器・・・ステンレス、黄銅、リン青銅、ベリリウム銅
指示圧力計の規格
- 指示圧力の許容誤差は、使用圧力範囲の上下10%以内であること。
- 使用圧力範囲を緑色で明示すること。
- 指針及び目盛り板は、耐食性を有すること。
- 指示圧力計の表示すべき事項は圧力検出部の材質、使用圧力範囲(MPa)、〇消の記号
加圧用ガス容器
加圧用ガス容器は、ガス加圧式消火器に装着して、消火剤を放射する際の加圧側となる二酸化炭素(小型消火器用)や窒素ガス(大型消火器用)などを充てんしたもので、次のような種類がある。
容器の種類
- 作動封板を有するもの(作動封板を溶着してガスを密閉する)
- 容器弁付きのもの(内容積100cm3を超えるものに用いられる)
充てんするガスの種類
- 内容積が100cm3以下のものは二酸化炭素
- 内容積が100cm3を超えるものは窒素ガス
内容積による分類
- 内容積が100cm3以下のものは高圧ガス保安法の適用を受けない容器で、二酸化炭素が充てんされたものは最も大量に使用されています。
- 内容積が100cm3を超えるものは高圧ガス保安法の適用を受ける容器で、二酸化炭素が充てんされたものは表面積の2分の1以上を緑色、窒素ガスが充てんされたものはねずみ色に塗られています。
塗色
消火器の外面は、その25%を赤色仕上げとすること。
尚
高圧ガス保安法の適用を受けた高圧ガス容器の場合は以下のような塗色が必要になります。
- ハロン1301消火器:外面の2分の1以上をねずみ色
- 二酸化炭素消火器:外面の2分の1以上を緑色