各消火器の構造と機能
水消火器(蓄圧式のみ)
- 水消火器は、容器に入った水を手動ポンプやガスの圧力を利用して放水し,燃焼物を冷却消火する。
- 普通火災、電気火災(霧状の水を放射する消火器のみ)に適応する。
強化液消火器(蓄圧式)
- 薬剤が液体で使いやすく、液体の持つ冷却効果が特徴で、天ぷら油火災に最適な消火器です。
- 炭酸カリウムの濃厚な水溶液を薬剤とする。pH約12の強アルカリ性。薬剤は無色透明だが、水と区別するために淡黄色に着色される場合もある。
- 適応火災・・・普通火災、油火災、電気火災(ただし、棒状のものは油火災と電気火災には適応しません。)
- 使用温度・・・-20℃~40℃
- 使用圧力範囲・・・0.7~0.98MPa
強化液消火器(ガス加圧式)
- ガス加圧式は大型消火器に採用されている。
- 加圧用ガスは二酸化炭素です。
- 加圧用ガス容器のバルブを開いて開閉式ノズルを開にすれば放射でき、開閉式ノズルを閉にすれば放射停止できる。
- ノズルは棒状放射と霧状放射を切り替えることができる。
- 棒状放射はA火災にしか適応していない。
機械泡消火器
- 基本的には強化液消火器と同じで、鋼板やステンレス製の本体容器内に消火薬剤が窒素ガスや圧縮空気で充てんされていてレバー式の開閉バルブが装着されている。
- 蓄圧式なので指示圧力計が付いている。
- 使用圧力範囲は0.7~0.98Mpa
- 使用温度範囲は-20℃~+40℃
- 水成膜泡や合成界面活性剤などの希釈水溶液で色々な成分を配合した消火薬剤を使用。
- 消火薬剤のpHは中性で、ノズルの発泡機能により発泡倍率5倍以上の泡が放射される。
- 適応火災は普通火災、油火災(電気火災については、泡を伝わって感電するため使用できない。)
化学泡消火器
- 化学泡消火器は反応式である。(今現在で反応式の消火器は化学泡消火器だけである。)
- 化学泡消火器は転倒式、破蓋(はがい)転倒式、開蓋(かいがい)転倒式がある。
- 構造としては、鋼板製の本体容器(外筒「がいとう」という)の中にポリエチレン製の内筒(「ないとう」という)が取り付けられていて、水に溶かした(外筒用薬剤)A剤(アルカリ性)を外筒に入れ、水に溶かした(内筒用薬剤)B剤(酸性)を内筒に、共に液面表示まで充てんする。
- 使用温度範囲は+5℃~+40℃(使用温度範囲が + の消火器は化学泡消火器だけである。)
- 消火作用は窒息作用(泡で覆うことによる)、冷却作用(水によるもの)
- 泡の膨張率は温度20℃の消火薬剤を標準発泡ノズルを用いて放射した場合泡の膨張率が7倍以上であること。(大型消火器は除く。)
- 転倒式
- 消火器の本体容器を転倒することにより内部の蓋が外れてA剤とB剤が混合・反応して泡を生成・放射する方式で、消火器本体容器が転倒するだけで作動し、消火器を逆さまにして使用する。化学泡消火器の中でも一番用いられている方式である。
- 破蓋(はがい)転倒式
- 内筒を鉛封板などで密封して、使用する際にキャップに装着された押し金具を押し込み、カッターで封板に穴を開けてから転倒させて放射する方式のものであり、小型消火器と大型消火器の一部に使用されている。
- 開蓋(かいがい)転倒式
- 外筒用キャップに装着されたハンドルと連動して開く内筒蓋で、常時内筒を密封しているが、使用の際にハンドルを回して内筒蓋を開いてから転倒させて放射する方式で、主に大型消火器に用いられている。
消火薬剤について
- (外筒用薬剤)A剤:炭酸水素ナトリウムを主成分とし、起泡剤等を加えたもの(アルカリ性である。)
- (内筒用薬剤)B剤:硫酸アンモニウム(酸性である。)
尚、この薬剤の水溶液は経年劣化するので、定期的(普通は1年)に詰め替える必要があります。
化学泡消火器には特徴的な部品としてろ過網、安全弁、液面表示が取り付けられている。
ろ過網、安全弁、液面表示の役割
ろ過網 | 異物によってノズルが詰まらないように消火薬剤をろ過する。 |
安全弁 | ホースやノズルが詰まった場合容器内の圧力の異常上昇を防ぐために圧力を放出して下げる。 |
液面表示 | 内筒、外筒の必要薬剤量を表示したもの。 |
二酸化炭素消火器
- 消火薬剤は高圧ガス保安法に基づく高圧ガス容器(鋼製・アルミニウム製)に圧縮され液化状態の二酸化炭素
- 消火作用は窒息作用である。
- 使用温度範囲は-30℃~+40℃
- 適応火災は油火災と電気火災
- 小型消火器にはレバー式の開閉バルブが装着され、車載式消火器にはハンドル式の開閉バルブが装着されている。
- 本体容器は高圧ガス保安法の適用を受けるので、外面の1/2以上が緑色に、1/4以上が赤色で塗装されて、安全弁も装着されている。
- 液化二酸化炭素(液化炭酸ガス)がノズルから放射される時に(気化により)冷却作用を伴うので、それによる凍傷を防ぐためのホーン握りが装着されている。
- 二酸化炭素自身の圧力で放射するので指示圧力計はない。
- 充てん比は1.5以上で、使用済み表示装置の装着時が義務付けられている。
ハロン1301消火器
- 消火薬剤はハロン1301(液化ガス)である。
- 消火作用は窒息作用と抑制作用である。
- 適応火災は油火災と電気火災である。
- 使用温度範囲は-30℃~+40℃である。
- ハロン1301自身の圧力で放射するので指示圧力計はない。
- 表面積の1/2以上をねずみ色に塗装する必要がある。